ハイデル・フォーラム21九州地区会は2024年4月15日、福岡市博多区の八仙閣本店で第94回セミナーを開催し、経営者から製造現場の担当者まで約40人が参加した。今般の賃金上昇、採用難、若者の離職率の上昇といった人材面の課題を背景に、いかに生産現場の自動化・効率化を進め、働き方改革を促すかがテーマとなった。
セミナーの冒頭、平木洋二九州地区会長(株式会社丸信社長)が「プラスチック業界では積極的に価格改定を行う圧倒的なリーダーがいらっしゃるので、業界全体が価格改定を行うことができている。翻って印刷業界は価格改定をリードするようなリーダー企業はいないので、なかなか苦労しているのが現実ではないか。賃上げのプレッシャーも強く、賃上げをしなければ人材採用に影響する。このセミナーで勉強し、みなさまとともに生産効率をあげて賃上げの原資を作っていければと思う」とあいさつした。
講演はハイデルベルグ・ジャパンの波多野秀樹氏(ライフサイクルオペレーションズ本部)と足立正樹氏(エクイップメントソリューションズ本部)の両氏が1時間ずつ行った。
波多野氏は時間とヤレ紙の無駄を見える化し、無駄の削減に取り組むことをあらためて提案した。例えば印刷機のスピードが上げられない理由は、給紙不良・タブり・色ムラなどの不安があるからであり、それぞれの要因を見つけて解決し、印刷機のスピードをあげれば生産性向上につながる。準備時間削減も同様で、これらのカイゼンを行えば、年間453万円のコスト削減になると試算した。そのうえで、これらのカイゼンにより残業の削減や2交代制の廃止などもでき、若者のオペレーターの離職も避けられるとした。また武田薬品工業が2024年1月に発表した特色廃止についても触れ、生産効率の向上は利益にも環境負荷軽減にもつながることを紹介した。
足立氏は自動断裁機・ダイカッター・ロボット・折機といった後加工の自動化技術を紹介した。2024年5月~6月に行われるdrupa最新情報についても触れた。
ハイデル・フォーラム21は、ハイデルベルグのユーザーであるかどうかを問わず、印刷企業および印刷関連企業の経営者、経営幹部が参加しているフォーラムで、印刷業界における新たな価値やビジネスチャンスを創造し、次世代の企業モデルへの転換をめざすリーダーを支援している。