九州印刷新聞では独自に「2024年印刷業界10大ニュース」を選出しました(詳細記事を順次アップしています)。
1位 ラクスル、印刷ネット通販業界首位に
ラクスルがプリントパックを抜き印刷ネット通販業界売上首位に立った。中小印刷会社の遊休設備を活用する「シェアリング・エコノミー」を謳っているが、実際には印刷会社数社に下請に出している印刷ブローカーに過ぎない。そのラクスルの成長の一番の要因はブランディング戦略にある。
2位 AIが印刷業界を席捲
印刷業界においては画像生成AIの、特にレタッチの自動化のインパクトは大きかった。生成AIのみならず認識AIにおいても、販促予算の配分や顧客の選定などマーケティングプランから担う日は近い。
3位 イメージ・マジック、オリジナルプリント市場を開拓
カスタムTシャツなどオリジナル商材を手掛けるイメージ・マジックが躍進している。ECサイト運営からプリント、機器開発、資材開発まで垂直統合し、徹底した自動化・省力化で利益を確保している。
4位 武田薬品工業、特色インキ廃止へ
製薬業界トップの武田薬品工業が二次包装における特色インキを廃止し、CMYKインキに切り替えると発表した。生産効率の向上と環境負荷の軽減が期待できる反面、ブランドのコーポレートカラーなどの表現に支障は出ないのかなどの問題が残る。
5位 三菱重工、新聞オフ輪の生産を中止
新聞の発行部数が激減するなか、三菱重工グループは新聞オフ輪の生産中止を発表した。メンテナンスも2036年までに終了する。需要面からも供給面からも、紙媒体の新聞がなくなる可能性がある。
6位 drupa2024開催
drupa2024がドイツ・デュッセルドルフで8年ぶりに開催され、1646社が出展、約17万人が来場した。来場者激減もさることながら、研究開発費を投じた革新的な機構や技術は見られなかったとの見方が大半だった。ラベルやパッケージにシフトしたのも特徴だった。
7位 MICが東証スタンダード新規上場へ
MIC(旧水上印刷)が12月25日に東証スタンダードに新規上場する。中小一般総合印刷会社に過ぎなかった同社だが、「ワンストップサービス」を提唱し、販促物の物流管理から一手に担うことにより急成長した。
8位 日本印刷新聞社が倒産
印刷業界紙の日本印刷新聞社が倒産した。固定費が高く、定期購読料に依存していた同社は、オペレーション効率が良く無料で速報性にも優れるネット情報配信会社にとって変わられた。
9位 郵便料金の値上げ
郵便料金の一部が値上げられた。年賀状文化はもちろん、請求書のペーパーレス化が進み、DMが貴重・希少化する可能性がある。DMはより精緻なマーケティング施策で費用対効果を追求しなければならない。
10位 日本印刷産業連合会、印刷産業の呼称・定義変更を提唱
日本印刷産業連合会が「印刷産業の呼称と定義を変更する」ことを事業に盛り込んだ。印刷にこだわらない事業領域に挑戦しなければならない。