デジタル庁、ガバメントクラウドに向け「行政事務標準当用明朝フォント」を地方公共団体へ提供

全国の地方公共団体の住民基本台帳、国民年金、介護保険など20業務のシステムを統一されたクラウド上に集約・共通化・標準化することで業務効率化とコストダウンが図れるとされるガバメントクラウド。デジタル庁は2024年9月30日、行政事務標準文字から基幹業務システムにおいて使用が見込まれない文字を除いたフォントファイル「行政事務標準当用明朝フォント」(約4万字)を全国の地方公共団体に提供し、ガバメントクラウドへの移行を支援している。

これまで各地方公共団体の基幹業務システムにおいては、各地方公共自治体ごとに「外字」を作成してきた。その作成や管理にコストがかかるとともに、システム間のデータ連携の際に文字化けが生じるといった課題や、システム更新の際に、他事業者のシステムへの移行が難しいなどの状況があった。

デジタル庁では、これらの課題を解決するため、各自治体の基幹業務システムの統一・標準化の取組を通じてデータの標準化を進めており、その一環として、標準準拠システムで共通に使う文字を定義した「行政事務標準文字」を定めた。

さらに、行政事務標準文字は約7万字の文字セットであり、一般的なシステムで実装可能なフォントファイルの上限(約6万5,000字)を超過し、複数フォントファイルを組み合わせる必要があり実装が難しいことから、行政事務標準文字から基幹業務システムにおいて使用が見込まれない文字を除いたフォントファイル「行政事務標準当用明朝フォント」(約4万字)を2024年9月30日に全国の地方公共団体に提供した。これによりガバメントクラウド化に向けた外字の同定が進展することが見込まれる。

ガバメントクラウド化の印刷業界への影響としては、全国の文書が統一化することで、官公需の発注先が大手・中央の印刷会社に集約化されていくのではないかという危惧のほか、むしろ民間業者へのアウトソーシングが進むとの前向きな意見もある。全日本印刷工業組合連合会では2024年8月1日にデジタル庁に表敬訪問し、意見交換を行っている。

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