【2024年印刷業界10大ニュース⑩】日本印刷産業連合会、印刷産業の呼称・定義変更を提唱

2023年10月に凸版印刷がTOPPANに社名変更し、印刷にとらわれない事業領域への展開を改めて業界内外に訴えた。CMでも俳優の大泉洋に「まさに凸版印刷から印刷が取れてTOPPANになったような味わいだね。素晴らしい」と語らせている。

そのTOPPANの麿秀晴社長が2024年6月印刷産業の最上位団体である日本印刷産業連合会の会長に就任した。その総会で「印刷産業の定義・呼称を再検討し業界内外に発信する」ことを決定した。

印刷産業はかつてない逆風にさらされている。度重なる諸資材の値上げ、エネルギー価格の高騰、郵便料金の値上げ、人件費の高騰・人材難、少子化・人口減少、読書離れ、オフィスのペーパーレス化、包装資材の簡素化、AIにおけるデザインの付加価値減、地方の過疎化、大手印刷ネット通販の台頭、そして何よりITによる代替。TOPPANが将来を見越し、IT、エレクトロニクス、BPOなど事業領域を広げていったのは確かに「素晴らしい」。中小・中堅印刷会社も事業領域の見直しを図るべきである。

ただ、整合性という問題がある。日本印刷産業連合会は中小印刷会社からなる全日本印刷工業組合連合会など10団体を束ねる組織であるが、全日本印刷工業組合連合会の定款に沿っているのか、そもそも組合員のコンセンサスは得られているのかなど、確認すべきことも多いように思える。

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