帝国データバンクによると、2023年度決算の損益状況が判明した出版社675社のうち66.1%にあたる446社が「業績悪化」(赤字または前年比減益)となった。うち「赤字」が過去最大の36.6%にあたる247社となっている。2024年の倒産・休廃業・解散数も62件と2年連続で60件を超えている。
コロナ下での巣ごもり需要により、電子書籍などのデジタル需要が拡大したものの、書店での販売部数の減少を補うまでには至らなかった。さらに印刷用紙やインクなどの仕入れコスト、人件費、物流費等の上昇も業績悪化に大きく影響し、特に雑誌媒体が大きく落ち込んだ。また返品率は3~4割超で高止まりしており、出版社の物流費や在庫負担増の要因となっている。価格転嫁率も27.7%と全業種(44.9%)を大きく下回っている。
なお2023年の紙と電子を合わせた出版物推計販売金額は1兆5963億円と前年比2.1%減。2024年上半期も7902億円(前年同期比1.5%減)と、電子書籍を含めても苦戦が続いている。その電子書籍も約9割がコミックで、活字離れは深刻だ。