
リコーはこのたび、フルカラーと強度、生体安全性を兼ねそろえた3Dプリンター技術を開発した。入れ歯などの人工装具やメガネフレームなど、オーダーメイド製造手段としての展開が期待される。
3Dプリンターの造形方式は「光造形方式」や「マテリアル・ジェッティング方式」が知られている。液体樹脂を紫外線レーザーで硬化させて積層する「光造形方式」は、入れ歯やメガネフレームなどですでに実用化されているが、単色のみで強度も劣るため市場ニーズに応えられていないのが実状である。一方インクジェットを用いる「マテリアル・ジェッティング方式」はフルカラーが強みだが、従来の技術では強度に問題があった。
このたびリコーが開発した技術は、「マテリアル・ジェッティング方式」でありながら、インクに独自の粒子を添加することで高強度とフルカラーの両立を可能にしている。
またモノマーの配合を最適化することで生物学的安全性試験もクリアしているため、とくに入れ歯の造形に有効であり、すでに株式会社コアデンタルラボで採用され、臨床展開が進められている。
今後はエピテーゼ(事故や病気などで失われた身体の一部を補う人工装具)やメガネフレームなどへの展開が期待できる。