
印刷ネット通販大手のプリントネット株式会社(本社=鹿児島市)は、新規事業として養殖業に参入した。印刷事業とは全く異業種だが、「既存の設備を整え、環境を管理し、品質を維持する」という点では多くの共通点がある。すでに10月14日定款を変更していたが、このたび鹿児島県日置市入来浜地区の養殖試験用設備が完成し、12月11日に放流式を行った。

プリントネットが成長領域として注目したのは、サーモンの「陸上養殖」。日本国内のサーモンの需要は増え続けているが、多くを海外に依存しており、近年の温暖化現象によりサーモンの漁獲高は不安定性を増している。プリントネットでは、海の状況に左右されにくく、地域ごとに存在する「地下水」「湧水」「空き地」「既存の建物」といった資源を使って、地元で完結した生産ができる陸上養殖を行うことにした。
同社は「印刷とは別の分野ですが、長く続けることができ、地域に貢献し、社会に必要とされる領域であるという点で、次の挑戦にふさわしいと感じています。小さな一歩ではありますが、地域に根ざした『食のモノづくり』を育てていきたいと考えています」とコメントしている。
印刷業の第一次産業への参入は、新聞オフ輪会社の毎日新聞首都圏センターが「きくらげ」の栽培庫を導入、温度湿度管理が整い、機械操作に長けたオペレーターが24時間常駐する印刷工場内で栽培することで、自社のリソースを活かした事例がある。












