2024九州印刷情報産業展が5月31日、6月1日に福岡市博多区築港本町の福岡国際センターで開催される。出展規模は107社272小間と西日本最大で、コロナ禍以降順調に伸びている。樋口幸嗣実行委員長に同展の特徴と見どころを聞いた。
西日本を代表する展示会に成長
――いよいよ5月31日・6月1日に九州印刷情報産業展が開催されます。
樋口実行委員長 おかげさまで2022年(89社)、2023年(105社)、そして今年(107社)と展示会規模は順調に伸びています。drupa2024と会期が重なってしまったのですが、重ならなければもっと増えていたと思います。九州だけではなく、大阪や東京のメーカーや印刷会社さまからも九州に新規開拓したいという声を数多くいただくようになりました。
――九州印刷情報産業展は前身の九州印刷機材展が1973年に初開催されて以来、コロナ禍などを含め過去4回の未開催を除き毎年開催されており、今回で48回目です。これだけ継続・発展できた理由は何でしょうか。
樋口実行委員長 他地域ではベンダーが1社で機材展を開いていらっしゃいますが、九州は全国で唯一、九州の大小のベンダーが九州印刷材料協同組合として一体となって展示会を開催しています。ベンダーによる団体は全国でも九州印刷材料協同組合だけだと思います。ベンダー1社1社で展示会を開いていては、先細りになっていたでしょう。
もちろん福岡県印刷工業組合(福岡県の印刷会社による組合)、福岡印刷工業協同組合(福岡市の印刷会社による組合)との協力関係なくしては成り立ちません。印刷会社のみなさまの出展も魅力の一つで、今年も15社出展されます。
当時の実行委員長である土井健二氏(現プロジェクトチーム)の尽力で、2013年に「九州印刷情報産業展」となったのも大きな転機でした。九州広告美術業組合連合会と協力して「九州サイン&デザインディスレイショウ」も併催するようになりました。隣接業界である看板業界のみなさんと協業することで、提案の幅も広がったと思います。
印刷業界の雇用確保にも役立ちたい
――クリエイターの作品展示「クリエイターズエキシビジョン」も他の展示会にはない特徴ですね。
樋口実行委員長 私が実行委員長になって、2022年から始めました。プロからアマチュアのクリエイターが作品を持ち寄って、コラボレーションのきっかけづくりをする場です。クリエイターの方に印刷機器メーカーをご紹介して、作品を印刷物というカタチにしてもらい、クリエイターの方から感謝の言葉をいただいたりもしました。今年も約50人のクリエイターが出展予定です。
――「クリエイターズエキシビジョン」のねらいは。
樋口実行委員長 私が一番に考えているのは「雇用」なのです。残念ながら印刷業界は、IT産業やゲーム業界などに比べて、イメージダウンしていると思います。しかし実際は、若いクリエイターが能力を発揮できる場所です。そのことを展示会を通じて知ってもらう場にしたい。
若いクリエイターはみなさんInstagramなどのSNSで発信されていて、フォロワーも何千人、またそれ以上います。約50人のクリエイターにそれぞれ印刷業界の魅力を発信していただければ、それだけ周知していただけると思います。
また、博多工業高等学校画像工学科の全学年が授業の一環で見学に来られるなど、高校・高等技術専門校・専門学校・大学の学生さんも来場されます。印刷業界のイメージアップ、そして若い人材の雇用確保につなげたいと思っています。
今年のテーマは「AI」
――今回は「九州は人工知能で革新的なステージを切り拓く」がテーマです。
樋口実行委員長 画像生成やデザイン解析、面付、画像補正などAIを使ったソリューションが数社から提案されます。AIによりクリエイターのすそ野が広がるかもしれないですし、昨年のテーマである「DX」と同様、見える化や効率化にもつながるかもしれないですね。
――最後に来場者に向けたメッセージを。
樋口実行委員長 機械だけではなく、人と人の出会いの場でもあり、われわれには考えも及ばないようなイノベーションのきっかけになるかもしれません。そのような場に無料で見学できます。「機械」と「機会」の場にしていただければと思います。