【2024年印刷業界10大ニュース③】イメージ・マジック、オリジナルプリント市場を開拓
Close up of Colorful t-shirts on hangers, apparel background

ラクスルのCMのラーメン店編では「安いは愛だ」と謳いながらオリジナルTシャツをPRしているが、ラクスルが受注したオリジナルTシャツは、実際にはイメージ・マジックが一部、おそらく大部分を生産している。イメージ・マジックは1995年設立のアパレルプリント会社だが、徹底した生産効率化とマス・カスタマイゼーション(1点ものの大量生産)でオリジナルTシャツ市場を開拓し、東証グロース上場、売上高43億円の企業に成長している。

イメージ・マジックの特徴は、徹底したオープン・アークテクチャー戦略にある。プリンターメーカーからはコマンドを開示してもらい、バーコードを読み込むだけでファイルを呼び出しプリント指示ができる仕組みを開発した。一方、畳み・袋詰め・出荷などは自社開発の機械で自動化するのみならず、それらの機械を同業他社に販売している。同業他社にノウハウを開示してでも市場を開拓し、市場のリーダーのポジションを抑える戦略なのだろう。なおプリンターも販売しているが、インクはイメージ・マジックが供給している。そこにもしたたかな戦略が垣間見える。

カスタムTシャツ市場はアメリカでは6000億円市場といわれ、日本でシェアを握れば大きく成長するかもしれない。なお同社はカスタムTシャツのみならず、タオルやアクリルグッズ、さらには3Dプリンターによるフィギュアも製作している。

イメージ・マジックはシステム開発会社であり、ECサイト運営会社であり、プリント工場であり、プリンターメーカーであり、資材メーカーである。つまり受注から生産までのすべてを垂直統合している。生産しか行わない印刷会社にとって、ビジネス展開の大きなヒントになるかもしれない。

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