5月31日と6月1日に福岡国際センターで開催される「2024九州印刷情報産業展」に、株式会社みつや出版事業部が初出展する。同社社長で、『印刷会社の生存戦略』などを執筆・出版している光山忠良氏に、同社の概要と出展内容を聞いた。

――株式会社みつやはどういった会社なのですか。

光山 戦後間もない1947年に、祖父の光山武が福岡県久留米市から福岡市に上り、天神の因幡町商店街で洋装店を開いたのが始まりです。その後因幡町商店街は火災に遭ったのを期に、地権者同士でビルを建設し、マイカルやビブレといったテナントが入りました。それに伴い洋装店を畳み、不動産経営にシフトしました。当社の縫製工場があった福岡市・大橋に自社ビルを建て、そこに事務所を構えています。ということで本業は不動産経営です。

――光山さんはなぜライターを目指されたのですか。

光山 私はなぜか小さいころから文章を書くのが好きで、作文の時間になるとクラスメイトが一斉に不満を漏らすなか嬉々として鉛筆を走らす変わった子供でした。ジャーナリストか編集者になりたいと思って文学部に入りましたが、当時は就職氷河期で新聞・出版業界に入る夢はとりあえず諦め、小さな広告代理店に入りました。

ところがどうしても書く仕事がしたいと思い、29歳にしてハローワークに通いました。職員からも「夢なんかみるな」と諭されましたが、株式会社日本印刷新聞社になんとか合格し、2004年に入社しました。

日本印刷新聞社には10年間在籍しましたが、夢のように楽しい記者人生でした。なにしろ自分の書いた原稿が新聞に載るだけで嬉しくて涙が出そうなくらいの性格ですから。100社以上の経営者の方にインタビューもさせていただいて、経営者、とくに中小企業経営者が発せられる言葉にはとても重みがあって、経営者の声を届けたい、形にしたいという思いを強くしました。

――2017年に福岡に帰り、2019年にみつやの代表取締役社長に就任されます。

光山 会社を継いだのはいいものの書くことは続けたいと思い、歴史エッセイ本(『とりとめのない歴史』)や郷土史(『愛ゆえの福岡市』)などを執筆、出版しました。3冊目はやはり印刷業界の知見を活かした本を書きたいと思い、Amazonで出版したのが『印刷会社の生存戦略』です。

『印刷会社の生存戦略』Amazonで発売中

10冊も売れないか、1000冊くらいは売れるのかさっぱり分からず、とりあえずDMを100通ほど印刷機械工業会様や日本印刷技術協会様の会員企業にお送りしたところ、すぐに光文堂様から講演のご依頼をいただきました。正直受話器の手が震えましたよ。

2024年1月の光文堂フェアの講演には130人のご参加をいただきました。みなさまのご感想は実際にお聞きしないとわからないのですが、ともかくある程度印刷業界の方に私の名前を知っていただき、本も売れ続けているので、それならば今まで培った印刷業界の知見を活かし、執筆や講演、コンサルティングを行おうと思い、2024九州印刷情報産業展に出展を決めた次第です。

――コンサルティングもされるのですか。

光山 私は2014年に日本印刷新聞社紙面で「事業領域拡大のための16のマトリクス」を発表しましたが、他社の出版社にも無断で使用されるなど、良くも悪くも印刷業界の指針を示せたと思っています。10年たった今でも有効だと思っていますが、特にビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)に可能性を感じています。印刷会社、特に中小印刷業界の方々に、私の持論をお伝えするのが主なコンサルティング内容になります。

ライティングとコンサルティングのツーウェイで当社を使っていただけるとありがたいです。ライティングに関しては、印刷業界の専門知識を生かした記事やホームページ等を作れますし、印刷業界のお客様の記事もオンデマンドに承ります。マーケティング、経営戦略、IT関連、学校関連、医療関連まで多数実績があります。

――最後に印刷業界の展望について。

光山 『印刷会社の生存戦略』という本を出したから誤解されるのですが、私は印刷至上主義者でもなんでもありません。印刷はなくなりませんが、印刷業界は解体されるかもしれないというのが私の意見です。ただ、印刷出荷額が激減する中でも、しっかりと成長を遂げている会社様はいらっしゃいます。そういったベストプラクティス企業の事例をお伝えするのも、私の役割かなと思っています。

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