
若いころポスティングの仕事をしたことがある。同僚4人とともに深夜、車で新潟まで移動し、高層マンションを見つけては、チラシを郵便受けに押し込んだ。明け方に東京に戻るまでには1万枚のチラシがはけた。お笑い芸人のイベントの販促だった▼そのお笑い芸人は当時視聴率15%のテレビ番組に出演し、イベントのPRも行った。1万枚のチラシと何百万世帯への宣伝で、5000円のチケット1200枚もあっという間にさばけるだろうと、イベント会社社長とともに電話が鳴るのを待った。ところが電話は1本もかかってこなかった▼今にして思うに、ポスティングが悪かったのではない、TV番組での宣伝が悪かったのでもない。売れない芸人のイベントに5000円払う人がいなかったのだ▼どんなに販促方法がよくても、売れない商品は売れない。印刷会社はマーケティング・サービス・プロバイダーになれと言われてきたが、顧客に商品そのものにコミットすることも役割の一つかもしれない。「その商品に5000円払う客はいますか」…顧客に対し不遜といわれようとも、そんな意見がお役立ちになることもある。(光山)















