
印刷会社同士の作業交流を深めるために毎年大阪と東京で行われる「モトヤコラボレーションフェア2026TOKYO」(株式会社モトヤ主催)が、今年も7月9日・10日、秋葉原のアキバ・スクエアで開催されている。今回は推し活ブームやオリジナルグッズブームを背景に、トランプ、メガホン、ポップアップキャラクター、アクリルキーホルダーなど、グッズとしての印刷物の提案が目立った。一方、ファブレスが進む中、大規模なオフ輪工場や枚葉工場、軽オフ単色機工場を擁する印刷会社による受託製造の提案も健在だった。エコ綴じファイル、バイオマスインキなどの環境製品、QRコードやNFCタグによるマルチメディア提案など特長ある提案も多かった。(※7月10日まで開催中)。
グッズ旋風吹き荒れる
オフ輪会社として有名な不二オフセット株式会社(東京都西多摩郡瑞穂町)は、オンデマンド印刷によるキャップやサンバイザー、メガホンなどの紙製応援グッズシリーズ「なりきりシリーズ」(実用新案登録済/特許取得済)を提案した。そのうち「なりきりバイザー」は抜き加工を先に行い、印刷を後に行う独自製法により、オンデマンド印刷機でも製作できる紙製サンバイザー。コンパクトに折った状態で観客に配り、観客が組み立てて使うことができるため、手軽で環境にもやさしい。試作品として提案し、オフセット印刷による大量受注も請けることができる。

ブッシュ抜きと呼ばれる精巧な抜き加工を武器に、トランプ・トレーディングカードの製造を得意としている株式会社田中紙工(埼玉県戸田市)は、今回はオリジナルのカルタやトランプがウェブ上で注文できる「オンデマンドカルタ.com」「オンデマンドトランプ.com」を中心に提案した。スマホの写真を用意し、テンプレートを選び、写真を配置・文字入れし、注文手続きするだけの4ステップでオリジナルのかるたやトランプを発注できる。1セットから注文可能で、誕生日や旅行の記念などにも最適である。会場ではその場でカードが作れる自演も行っていた。

DM大賞を数度受賞するなどDMの企画・製造で知られる株式会社ガリバー(神奈川県横浜市)も、今回は「推し活」にフォーカスしたARサービスを紹介。スマホのカメラをQRコードにかざすとお気に入りのキャラクターのウェブフォトフレームで自撮りできたり、CDが回転して推しの楽曲が流れたりといったデジタルコンテンツを提案していた。
オフセット枚葉機のインラインフォイラーによる箔押し技術で知られる情報印刷株式会社(神奈川県川崎市)も、IP(知的財産権)事業部を立ち上げ、最新鋭のUVインクジェットプリンターやレーザーカッター、デジタル印刷機を武器にコルクコースターからアクリルキーホルダーまで提案していた。グッズ製造・アッセンブリ・物流までをワンストップで請け負うことができるのが同社の強みである。
広島県福山市の三和綜合印刷株式会社も推し活グッズを前面に出していた。PP・PET・PVCを使った組み立て式のペンスタンドやポップアップスタンドはアクリルとはまた違う魅力がある。

ファブレス化のなか製造受託印刷会社の存在目立つ
印刷需要の低迷により、印刷機を廃棄し、ファブレスで営業を行っている印刷会社も多くなった。そういった背景から、印刷物の製造受託を提案する印刷会社が目だった。
株式会社平河工業社(東京都新宿区新小川町、和田淳子社長)は板橋区に菊全8色機などオフセット印刷機24台を擁し、1日170万通しを誇る。
オフ輪、特にB系オフ輪の設置台数が減少する中、神奈川県小田原市の文化堂印刷株式会社はB全両面オフ輪5台など、生産力を武器にしている。ブースに展示されたB全新聞紙はやはり圧巻。なお同社ではバームクーヘン専門店「Re : バウム」の運営をおこなっていることも紹介していた。
ネット通販のプリントネット(鹿児島県鹿児島市)も「ネット印刷を自社の製造工場代わりに活用してさらなる利益創出をしてみませんか?」PRしていた。
軽オフ13台や丁合機などでモノクロ印刷のページものに強いTOP印刷(大阪府富田林市)もモノクロ冊子の受託製造を提案していた。
ニッチトップ目指し共存共栄を
高精細の印刷を得意とするほか、高速ロール紙インクジェット印刷機と冊子ラインを擁する東洋美術印刷株式会社(東京都千代田区飯田橋、山本久喜社長)は、複数の著者でもクラウド上のテンプレートに原稿を入力することで大学紀要やガイドブックなどの制作が簡易化できる「みたまま入稿フォーム」を提案していた。
そのほか、株式会社研美社(大阪府大阪市)はNFCタグをカードに装着することでQRコードをかざしたりすることなしに画像に飛ぶことができる紙製カードを提案していた。動画系では、JITSUGYO(奈良県奈良市)がアニメによる採用向けの動画制作「採用革命アニメーション」を、株式会社北星社はCADを動画に起こし、製品の内部構造などを説明するプレゼンテーションなどに使ってもらうサービスを提案していた。特許取得のバイオマスインキを提案した三進社(東京都品川区西五反田)や、エコプレス綴じによる紙製ファイルの多田紙工(埼玉県さいたま市)など、きらりと光る技術の提案も多かった。

作業交流も順調に進んでいるようだ。「大阪のモトヤコラボレーションフェアで実績を積めたので、今回思い切って東京進出にかけてみた」と意気込みを語る営業パーソンもいた。お互いが国内ニッチトップを目指し、作業交流が進めば、印刷業界の共存共栄の道が開かれると感じた。














