
2月13日、14日に大阪市の梅田サウスホールで開かれた「モトヤコラボレーションフェア2025」では、全国の印刷会社をはじめ約90社が各社独自の技術やソリューションを提案した。その一部を紹介する。
マツモト(福岡県北九州市)
全国7000校以上の卒業アルバムを手掛ける株式会社マツモト(福岡県北九州市)はそのコーティング設備を生かして、ホログラム加飾やスポットマット加工を行うことでより訴求力が上がる商業印刷物を提案していた。あるクライアントの商品券は同じデザインでもホログラム加飾を施しただけでレスポンス率が3倍に上がったという。

当矢印刷(東京・豊島区)
マッチ箱の製造からスタートし、現在はオフ輪6台を擁する当矢印刷株式会社(東京・豊島区)はインラインでの抜き・貼り・折り・綴じ加工を生かした短納期の商業印刷物を提案していた。最大32ページの糊綴じパンフレットや、ジャバラ折の片端ずらしでインデックスを付けることができる圧着DM、開封するとB4サイズでキャラクターがポップアップするDMなど実に多彩。またインライン圧着もできる6色デジタル印刷機による高品質宛名DMも提案していた。

ウイル・コーポレーション(石川県白山市)
多彩なインラインフィニッッシングで知られる株式会社ウイル・コーポレーション(石川県白山市)は、のりもはさみもいらないペーパークラフト「魔法のペーパークラフト」、折って、隠して、立つ付箋シールなど独自のポップアップ技術を紹介していた。なお同社ではカラーインクジェット輪転機などデジタル印刷にも注力している。

大和出版印刷(神戸市)
大和出版印刷株式会社は地元・神戸の洗練されたイメージを生かした文房具ブランド「神戸派計画」を紹介していた。万年筆でも滲まず書きやすい便せん「グラフィーロ」などの紙製品のほか、レザーブックカバーなど幅広く展開している。

やまとカーボン社(京都市)
複写伝票印刷に強みを持つ株式会社やまとカーボン社(京都市)は、知育に役立つ「点つなぎお絵かき」を提案していた。児童が紙に施された点と点を鉛筆でつなぐと、カーボン紙で複写された動物などのお絵かきが完成する。すでに動物園などで実績があるという。

太陽美術紙工(岡山市)
岡山市に本社を置く太陽美術紙工株式会社は、偽造防止特許技術『MetallicView』を持つ独立行政法人国立印刷局とライセンス契約を結び、パッケージ印刷に展開していることを紹介した。見る角度を変えるだけで2つの絵柄が入れ替わる特殊技術で、ブランド品のパッケージなどに有効である。またハリセン・メガホン・プラカードの3用途に使える応援グッズ「ハリセンボン」(意匠登録済)も提案していた。

緑屋紙工株式会社(大阪市)
「おそらく日本一なんでもできる封筒屋」をキャッチフレーズとする緑屋紙工株式会社(大阪市)は、サイドにマチが付き商品を封入するのに適した形状の封筒や、グラシンフィルムを使った全面マドの環境封筒、極小のプチ袋などのアイデア商品を提案した。

淡路印刷(兵庫県あわじ市)
淡路印刷株式会社(兵庫県あわじ市)の真野貴司社長はコンビニの無料おしぼりに広告を掲載するビジネスや、サイト上で住宅が内覧できるバーチャル住宅展示場などのビジネスアイデアを披露していた。バーチャル住宅展示場はすでに10社以上の印刷会社から加盟希望があるという。
JITSUGYO(奈良市)
奈良市の印刷会社JITSUGYOでは、アニメーションで会社紹介を配信し、Z世代のリクルートにつなげるアニメーション動画制作サービス「採用革命アニメーション」を紹介していた。奈良先端科学技術大学院大学の実験結果によると、10分の会社プレゼンよりも、3分のアニメーションの方が、記憶の定着効果が22%アップするという。

かねひさ(大阪府岸和田市)
木材に特化した物流会社のかねひさ株式会社(大阪府岸和田市)は2020年に超大判UVフラットベッドプリンターを導入、木材を活かした感謝状やネームホルダーなどを製作している。印刷・加工事業を行うことによって、印刷会社からも物流事業についての問い合わせが多くなり、事業の幅が広がったという。
そのほか、印刷会社各社の設備と技術を駆使したアイデア商品には非常に惹かれた。印刷技術や、特に加工技術に創意工夫があれば、独自製品が開発でき、協業することで商材が広がることを実感した展示会だった。