
エッセイ『イギリスはおいしい』で一世を風靡した林望氏の新著『書物を楽しむ あえて今、紙の本を読む理由』を読んだ。リンボウ先生、なかなかのアナログ主義者でいらっしゃる。「電子書籍の7つの大罪」に一章を割いて、電子書籍は手触りやデザインが楽しめない、読んだ気がしない、電源が切れたらおしまい、無駄にアップデートしていくなどと糾弾し、「活字は紙に限る」と断定する▼横になりながら読書に浸れる、付箋が張れる、物理的所有感や愛着が沸く、場面を見失うことがない――など、主張自体はそれほど目新しくない。逆にリンボウ先生のように経済的余裕がある人でないと、空調管理された図書室なんて維持できず、紙の本に囲まれた生活なんてできないのではなどとツッコミたくもなる▼しかし今回のコラムの主眼はそこではない。印刷業界こそ、リンボウ先生のような印刷愛好家/インフルエンサーを支持し、印刷のエバンジェリスト(伝道師)になってもらうよう働きかけるべきではないか、ということである▼印刷業界人が印刷を擁護しても説得力に欠ける。ぜひ紙の本をこよなく愛するインフルエンサーに仲間になってもらい、紙の本のファン層を拡大しようではないか。それは電子書籍で利益を上げる出版業界ではなく、ほかならぬ印刷業界がやるべきことだと思うのである。(光山)














