【コラム清風008】紙のタウンページ廃止に想う

20年ほど昔の話で恐縮だが、時刻表の印刷工場に取材にいったことがある。1色、2色、4色を1台で印刷しなければならないので、オフ輪は2ウェブ印刷機という時刻表専用仕様になっていた。超薄紙だからウェブの断紙は天敵で、用紙のスキムラはもちろん、湿し水をギリギリまで絞らなければならない。数字は微細な文字なのに文字欠けは交通事故にかかわる問題だから、ピンホール一つ許されない。数百ページもあるので数十鞍の専用製本機も必要だ▼それでも当時、「影のベストセラー」と呼ばれていたから、時刻表は生産し続けられていた。しかしスマートフォンが普及した今、時刻表はもはやファンのぜいたく品かもしれない▼2026年3月31日、紙のタウンページ(電話帳)が廃止になり、iタウンページに切り替わった。辞書、百科事典、電話帳、時刻表…「調べる」ための紙媒体は利便性でも環境面でも今やムダかもしれない。「わざわざ紙に出力していたのか、ぜいたくな時代だったんだな」と懐かしく回顧される日がくるかもしれない。

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