
プリントショップのアクセアが急成長している。2014年の15店舗から2026年7月には151店舗まで拡大、FC店舗を含む売上は100億円を超えた。個人事業主やフリーランスデザイナーなど場所に縛られずに働くいわゆるノマドワーカーのプリント需要の受け皿として成長、今ではカフェやコワーキングスペース、会議室などを併設する店舗も増え、プリントサービスに捉われない価値提供をしている。店舗運営本部の榎澤永光氏は「ビジネスプラットフォームとしてみなさまのビジネスを加速させる拠点でありたい」と話している。
「ノマドワーカー」の需要にマッチ
株式会社アクセア(本社=東京・千代田区麹町)は2002年設立、従業員700人のプリントショップ運営会社。コロナ禍の苦境も店舗数を減らすことなく乗り切り、以後は1カ月3~4店舗のペースで拡大、現在は北海道から沖縄までFC店70店舗を含む151店舗体制となっている。プロダクションセンター(製造工場)も4か所ある。

オフィスのプリント需要が低迷する中、同社が急成長している要因は、なんといっても日本のワークスタイルの変化だ。「当社では設立当初から、職場に縛られずに働く個人事業主やフリーランスに向けてサービスを提供するというコンセプトで展開してきました。アメリカと一周遅れで日本にもそういった時代になり、ニーズに合致してきた印象です」と榎澤氏は話す。ユーザーは当初は法人が7割を占めていたが、現在は法人と個人の割合はほぼ半々となっている。
ウェブからの入稿が9割を占めるが、アクセアの強みはやはり全国に店舗があることだ。駅から近くの大通りに面した出店戦略で、広告効果もある。だが身近に相談相手がいることは印刷ネット通販にはない特長である。営業時間は店舗によって異なるが、24時間営業も多い。「夜中にデザインを完成させたデザイナーが入稿データや納期に不安があっても、電話していただければほぼワンコールで店舗スタッフが電話を取る体制になっています」(榎澤氏)。印刷営業やDTPオペレーター経験を経た店長が「切り盛り」しているので、入稿チェックの不備などの要点も心得ている。ポスター1枚の仕事からドキュメント数百部の仕事まで一店舗あたり1日30件のジョブもなんなくこなしている。
各店舗が受注を競う「早い者勝ち」システム
名刺100枚両面カラー390円という価格や、高品質な仕上がりもそうだが、驚異的なのは当日発送や3時間仕上げなど、圧倒的なスピードだ。全国90万人ものユーザーからの入稿に対して、店舗ごとの分散生産体制を取っているアクセアがいかに遅延なく仕事をこなし、配送しているのか。
鍵は自社開発のシステムにある。受注したジョブに対して、本部が各店舗にジョブを振り分けるのではなくて、各店舗がジョブを「早い者勝ち」で取り合うシステムなのである。このシステムのおかげで、各店舗は機械の稼働状況を鑑みながら、全国からの仕事を請けることができる。顧客にとっても最短納期で納品してもらえる。こうした合理的なシステムで、全体最適が図られているのだ。
全国151拠点のエコシステムが機能し、品質・価格・納期が担保されている。もちろん店舗同士が協力して、納期に間に合うように協力することもあるという。
カフェからフィットネスまで事業領域を拡大
近年は個人事業主やフリーランスデザイナーのほか、アポイントの合間にノートパソコンで仕事やZOOM会議をしたい会社員や、オフィスを離れて息抜きをしたい会社員などがコーヒーショップチェーンにあふれかえっており、ゆっくりくつろぎたい消費者とのコンフリクトを起こしている。静かなスペースでZOOM会議したり、仕事をしたり、プリント資料を出力したりしたい。そういったニーズから同社では「アクセアカフェ」も展開している。かつてはプリントショップの印象が強かったアクセアも、カフェを起点にプリント需要につながるケースも増えてきた。
コワーキングスペースや貸会議室、さらには書店やフィットネスまで、事業領域の拡大を進めるアクセア。榎澤氏は「当社は自社をプリントショップや印刷会社とは定義していません。ユーザーのみなさまのビジネスのお役立ちをし、『それぞれのビジネスに歩むうえで元気を得る場』と思っていただけるようなビジネスプラットフォームを目指しています」と話している。














