
ハイデルベルグ・ジャパンによると、世界の商業印刷物の実に95%がA3以下である。また小ロット・多品種の時代、2000部未満の仕事が65%を占める。東京・品川区の同社本社で行われたデジタルソリューションイベント「デジタルデイ2026」では、A3インクジェット印刷機「ジェットファイア」とトナー機、インライン/ニアラインの後加工機を駆使し、わずか10分で5ジョブをこなす圧巻のデモンストレーションで来場者を魅了した。
起点となるのはAIを活用したワークフロー「プリネクト・タッチフリー」で、多様な仕様の仕事を、最適な空き時間の最適なデバイスに自動で振り分ける。今回はA4中綴じなど2つのジョブと、片辺ずらしのジャバラ折り、2つ折りのメニュー、観音開きより複雑ないわゆるカエル折り――という3種類の折り加工のジョブを各デバイスに振り分けた。
目玉はA3両面毎時4560枚の生産性を誇る水性インクジェット印刷機「ジェットファイア50」である。電源投入時間の90%以上を実生産時間で、ジョブ切り替え時間などを大幅に削減できる。今回はホリゾンの中綴じシステム「iCE STITCHLINER Mark V」をインラインで連携させ、ジェットファイア50の生産スピードを落とすことなく中綴じ冊子を生産した。同時に封筒からコート紙まで対応する粉体トナー機「バーサファイアVP」でも印刷を行った。

ニアラインの「スタールフォルダーTH66ファイアライン」でも折りと断裁を同時に行い、ほぼオペレーターの介入を必要とせずに前述の高度な折り仕様3種類を完成させた。
なお今回は株式会社デュプロ、ホリゾン・ジャパン株式会社、テクノロール株式会社、株式会社ウチダテクノ、ダックエンジニアリング株式会社の各後加工・検査装置システム会社の協力を得て、実機の展示と成果物の出品を行った。全体のテーマとして「オペラコンサート」のコンセプトをもとに、LP版レコードに模したDM、コンサートチケット、メニューなど多彩な高付加価値印刷物が展示されていた。
A3、小ロットが多くを占める商業印刷市場において、確かにフルデジタルの生産ラインは説得力があり、A3サイズを前提とした後加工を含む全体最適は望ましい。今回セミナーの講師を務めたスイスのシュミット・フェア社も、家族を含む従業員十数人の印刷会社であるが、ジェットファイア50を果敢に導入して自動化生産を推進しているようだった。中小・中堅商業印刷会社の「次世代スマートファクトリー」が垣間見えたようなイベントであった。














