【コラム清風018】Canva社は学校アルバム制作から始まったという事実

いまや企業価値数兆円に達し、Adobe社に比肩するデザインツール会社に成長したCanva社は、もともとはオーストラリアの19歳の女子大生メラニー・パーキンスが2008年、学校アルバムの制作ツールを提供するためにボーイフレンドとともに設立した会社だ▼正確には学校の「イヤーブック(Year book)」と呼ばれるもので、教師や学生たちがボランティアで、写真を集め、編集し、PDF化し、プリントショップに持ち込んで印刷していた▼Adobeのデザインツールの指導をしていたメラニーは、Adobeソフトの難解な操作に素人が四苦八苦することに疑問を持ち、直感的で簡単で共同作業できるクラウドデザインツールを開発し、ニッチともいえる学校に売り込んだ。最初は母親の家のリビングを借りて創業し、母親がイヤーブックの印刷も手伝っていたらしい▼1年目は15校に採用されたこのプラットフォームは、2年目に30校、3年目に80校に採用され、やがてオーストラリア最大のプラットフォームにまで成長した。メラニーの必死のプレゼンは100社以上に断られたが、ついにシリコンバレーの協力者が現れ、生成AIのトレンドにも乗って世界的なデザインツール会社に成長した▼悔しい、と私は思う。日本の中小零細印刷会社だって、Canva社になれたかもしれないと思うからだ。AdobePhotoshopが素人には難解なのは気づいておられよう。学校アルバムを制作するために、個々のカメラマンやオペレーターによる手作業がどれだけ面倒なのかも知っておられよう。それなのにボトルネックを解消しようとも思わず、繁忙期にあくせく力技で卒業シーズンの納期に合わせるルーチーンを何十年と続けてきたのである▼印刷にまつわるボトルネックを発見し、ソリューションを見出そう、そして世界に売り出そう。それくらいの気概を持って新ビジネスに取り組むべきだ。(光山)

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